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【先輩起業家インタビュー】

「お客さんが0人の日が二日続いたらお店を閉じよう。
夫婦二人三脚で、震災前から、そばカフェ×自給自足の百姓暮らし

そばカフェ 風庵 栗原洋一さん、都さん

こんにちは!株式会社ESCCAインターン生のひまちゃんです。

 ついに先輩起業家インタビュー最終回。今回は、南三陸で百姓暮らしをしながら、そばカフェ風庵を営む栗原洋一さん、都さんご夫婦にインタビューさせていただきました!

 町の中心部から車で10分ほど、まるで秘密基地のように少し隠れた場所にある風庵さん。おふたりの住居のすぐ隣に佇むお店は、なんと元々馬小屋だったそう!梁の部分などの元の良さは残しつつ、趣と清潔感のある、素敵な内装になっています。隣の住居も全て木造です。

目次

先輩起業家プロフィール
栗原 洋一さん(写真上段右側)、都さん(同左側)

ご夫婦ともに栃木県出身で、洋一さんは日光、都さんは鹿沼市の小さな村で生まれ育った。第一子出産後、東京に引っ越す。洋一さんはエンジニアとして働き、都さんは共同購入会の生協を立ち上げたあと医療生協で働く。2005年12月に南三陸町に移住。翌年、そばカフェ風庵を始める。それから約17年風庵を営みながら、農業をして暮らす。

南三陸町とのつながりと移住した理由は?

 始まりは子どものおむつかぶれでした。そこから身体に良いものについて調べるようになりました。それをきっかけに直接見える関係による安心感を求めて、共同購入の生協を立ちあげました。そこで知り合いのつてで取り寄せた豚肉の生産地が、南三陸町の志津川だったのです。

 そこから生産者さんのすすめで何度か南三陸に足を運ぶようになりました。南三陸に移住したのはそのご縁ですね。初めは慣れない中ではあったけど、自分達で食べるものくらいは自分達で確保しよう、ということで、この土地で百姓暮らしを始めました。

そばカフェ風庵を始めた理由は?

 「お客さんが0人に日が二日つづいたらお店を閉じよう。」
それだけ決めて、生活費を確保するために風庵を始めました。土日は風庵、平日は百姓という暮らしをずっと続けています。最初の頃は本当に初心者で、蕎麦粉も自分達で育てたものを使っていたけど美味しいとは言えなかったですね。それから試行錯誤を繰り返してきました。メニューはオープン当初からほとんど変わっていません。そんな状況でも不思議とありがたいことにお客さんが0人が二日続くことは今まで一回もなくて。それも何かの縁ですね。風庵を始めたことで、百姓暮らしではきっと出会えなかった人に沢山出会えて、始めてよかったなと思います。

南三陸にきてよかったと思ったことは?

 人がとにかくあたたかかったことです。嬉しかったエピソードとしては、南三陸にきてすぐの時に敷地内に江戸時代のあまり整備されていないお墓があることに気づいたんです。ここに住む前にきちんとしておきたいと区長さんにお話ししたら次の日にはたくさんの人が道具を持ってきてくださいました。あの時は皆さんの優しさに感動しました。他にも台風の日には心配して早朝から様子を見にきてくださったり、ドアの立て付けを直してくださったり、本当に親切な方が多いです。

生活の中で大切にしていることは?

 「食」を大切にしています。私たちの幸せは、安心してご飯が食べられることなんです。だから自分達で食べるものはできるだけ自分達の手で育てたり、パンなどもなるべく手作りしたりしています。でも、安心安全を求めてこだわりすぎるのもよくないんですよね。こだわりを持って有機野菜やお米を作るのはすごく大変で。だから、こだわりすぎないっていうのも意識しています。

 あと、私たちのこの考えを誰かに強制はしないようにしています。人は人で、みんな違うからです。私たちにはこの暮らしがとても合っていたんです。いつかは百のことを自分達でこなせるようになって本当の意味での百姓になりたいです。 

地方に移住する魅力は?

 地方に移住といっても私たちは生まれが元々田舎だったのであまり違和感はなかったですね。南三陸に移住した時はまるで故郷に帰ってきたような気持ちになりました。でも、だからといって東京での暮らしに違和感があったわけでもありません。結局はそこでの暮らしを自分がどう捉えるかなんですね。都会と田舎どちらに住んだとしても、それぞれの「良さ」を自分で見つけることが大切だと思います。

今後の展望は?

 今までの人との関係を大切にしながら、その輪が広がっていけばいいなと思います。現在は、若い人たちに草刈りなどを手伝ってもらう代わりにお蕎麦を無料で提供したり、おうちに泊まってご飯を食べてもらったりしています。そういうお金を通してではない繋がりが大規模ではなく気持ちよく暮らせる範囲で、広がって新しい出会いがあれば嬉しいです。

 そして、私たちが住んでいるこの場所がこれからもみんなが集う楽しい居場所として、受け継いでいってもらえたらなと思います。

地方への移住を目指す方にメッセージ

 人が幸せに生きていく上での礎は「食」だと思います。結局は美味しくて安全なご飯が食べられることが一番なんですよね。でも、今の社会は全てのものの価値をお金に換算して見出そうとしている気がします。もし、今の生活に疑問を抱いたら、自分の価値観を信じてあげてください。それを貫けることはとても素敵なことです。ただし、完璧は求めなくてもいいんです。100%ではないからこそ人は生きていくことができます。

INTERN’S SPEAK!

 今回のインタビューはご自宅にお邪魔させていただきました。とてもあたたかく迎えてくださり、和やかな雰囲気のまま、インタビューの仕事を忘れてしまうほど、楽しい時間を過ごすことができました。

 よく移住するときの不安として「地元の方に受け入れてもらえるか」というのを耳にします。でも栗原ご夫妻は移住してすぐに沢山親切にしていただいたと話されていました。もちろん、南三陸の方々の優しさもあると思いますが、きっとお二人の人柄の良さがすぐに地元の方にも伝わったからこその優しさなんだろうなと思いました。お二人が今までの出会い一つ一つを大切にされている様子もお話から伝わってきて印象的でした。もし移住したい!と思った時は変に肩に力を入れず、素の気持ちを伝えてみるのもいいかもしれません。

以前風庵でいただいた洋一さんのお蕎麦と都さんのレモングラスティーとプリン。
野菜は全てお二人が育てたそう。さらにお蕎麦の麺は洋一さんが前日に6時間以上手引きしたものをいただきました!細部までこだわりを感じてとても丁寧で繊細な味がしました。
お蕎麦もプリンも食べ始めると自然と噛む回数がゆっくりになり本能的に味わおうとしていて、自分でもびっくりしました!見た目の感動以上にまた食べたいと思う美味しさでした。

 

風庵さんの詳しい情報はコチラからどうぞ。

この記事のライター / ひまちゃん

広島県福山市出身。神奈川県の大学一年生。高校生の時に地元の商店街の人と空気の良さに気づき、まちづくりに興味を持つ。第二の故郷を探す旅の途中🐾現在は南三陸町の株式会社ESCCAでインターン中。
いつか自分の故郷でみんなのあったかい居場所をつくることが目標!でも、「地域のために自分には何ができるだろう」と悩み中。